オランウータンの保全

オランウータンの保全

オランウータンが絶滅の危機に

生息数が急速に減少

オランウータンの個体数調査が本格的に始まったのは1900年代からです。当時は、スマトラ島とボルネオ島に、約315,000頭が生息していました(Rijiksen&Meijaard,1999)。
下記は世界自然保護基金(WWF)が発表した1950年代~現代のボルネオ島の森林減少とオランウータンの分布の変化を現したものです。オランウータンは、生息地である熱帯林の急速な消失によって、過去100年間で全体の約80%のオランウータンが絶滅してしまいました。

ボルネオ島の森林現象と分布の変化

オランウータンの生息数 グラフ

2016年に行われた生息数調査の報告によると、現在、スマトラ島には、スマトラオランウータンが約13,000頭以上、タパヌリオランウータンが約800頭以下、ボルネオ島には約57,000頭以上が生息していると推定されています(Wich et. al.,2016;Orangutan Population and Habitat Viability Assessment 2016, 2019)。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは、スマトラは2010年、ボルネオは2016年、タパヌリは2017年に、それぞれ絶滅の可能性が最も高い「近絶滅種(CR)※」に指定されています。

近絶滅種とは、「ごく近い将来、野生での絶滅の可能性が極めて高い種」という意味です。今よりも生息数が減ってしまうと、もう一つ上のランクである野生絶滅種(EW)「飼育下のみで種の存在が認められる種」になります。

生息数が減少する理由

オランウータンの生息数が減少している最大の原因は、生息地である熱帯雨林の減少です。その主な原因は、大規模なオイルパームプランテーションの開発、居住地や農地としての開墾事業、排水された泥炭湿地林での森林火災、合法的な商業伐採や自然保護区内で行われている違法伐採による森林の劣化など、そのほとんどが人間の開発による影響です。その他、ペットにすることを目的とした違法な密猟や、地球温暖化による生息環境の変化なども影響を与えています。

オイルパームプランテーションの開発

開墾事業

密猟

繁殖スピードが遅く保護活動が難しいことも、
急速な減少の一因に

早急に保護活動を行いたくても、オランウータンの場合それは簡単なことではありません。オランウータンの繁殖スピードはとても遅く、6~9年かけてゆっくり確実に一子を育てます。そのためオランウータンの生息数が減れば減るほど、個体数を回復させることが極めて難しくなります。また、十分にコドモを育てられる豊かな森林がないと子育てさえ難しいのです。

オランウータン

オランウータン

現存しているオランウータンの約20%は国立公園や保護区に生息していますが、それ以外の大部分は、現地の人々が生活する集落近くの森林に生息しています。つまり、多くのオランウータンたちは、常に伐採や農地開拓、火災などの被害に脅かされながら、食糧も十分でない不安定な状況下でひっそりと生活しているのです。現在の深刻な森林破壊の状況では、今後も生息数の減少を留めることは極めて難しいでしょう。

この生息数の減少に歯止めをかけ、さらには少しでも増やすために、
私たちは、今、オランウータンのために何ができるでしょうか。
私たちを含めた世界中の研究者や動物園関係者、NPO/NGOの活動家らが、
この深刻な事態をなんとか食い止めようと、
研究・保全それぞれの分野から彼らの危機的な状況を調査し、発信しています。
ぜひ、その声に耳を傾けてください。

私たちにできること

オランウータンを絶滅の危機から救うために、日常生活からでも、私たちができることがあります。
まずは身近なところから始めましょう。

パーム油(植物油脂)を含んだ製品は慎重に選ぶ

現在、オランウータンが住む熱帯雨林に最も脅威を与えているのは、オイルパームプランテーションです。日本もパーム油を大量に輸入している国の一つです。加工食品などの原材料表示には、日本では「植物油脂」としか書いていないので、「パーム油」と言われてもあまりピンとこない人がほとんどでしょう。しかし実際には、私たちが日常的に口にするお菓子やインスタント食品、洗剤や化粧品のほとんどにパーム油が使われています。
2011年からは、持続可能なパーム油を使用した製品には、「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO:Roundtable on Sustainable Palm Oil)「RSPO」が認証した独自のロゴマークがつけられるようになりました。ただし、このプログラムはまだ始まったばかりなので、私たちが店頭などで見かけることは当面ありません。しかし、数年の内には、RSPO認証商品は珍しくなくなるでしょう。

油ヤシの実

パーム油が使われている食品の例

RSPO認証マーク

FSC認証商品を選ぶ

インドネシアでは国立公園の中でさえ違法な森林伐採が行われており、オランウータンの住む森がどんどん破壊されています。違法伐採は、コストをかけずに生産できるため、安価な木材が流通することで、木材の価格が下がり、持続可能な森林経営を圧迫します。

FSC認証制度とは、こうした違法で破壊的な伐採ではなく、より環境への負荷が少ない方法で管理されている森林からから産出された木材や木材製品にロゴマークをつけ、流通させようという制度です。FSC認証のマークは、日本でも、木材製品やコピー用品・トイレットペーパーやテッシュなどの紙製品に付けられているのを見かけます。私たち消費者がこうした製品を選ぶことで、現地での森林利用の形態を変えていくことができます。

オランウータンや熱帯雨林を守る活動をしているNGO・NPOに参加する

日本や世界には、オランウータンの保護活動を行っている団体がいくつかあります。これらの団体の会員になる、寄付をする、ということを通してオランウータンの保護活動に参加できます。まずは各団体のホームページをみて、自分にあった団体を探してみましょう。

おすすめのNGO団体

生息地のエコツアーに参加する

インドネシアやマレーシアを訪問した際には、現地の人が運営するエコツアーに参加しましょう。観光客がより多くこうしたエコツアーに参加し、地元の人々が収入を得れば、その土地の自然や野生生物の保護につながります。また、オランウータン・リハビリテーションセンターを訪問し、入場料を払い、寄付をすることも各施設の重要な財源となり、オランウータンの保護に役立ちます。

オランウータンのリハビリテーションセンターとは?

オランウータンの保全活動の一つとして、リハビリセンター事業があります。
野生下で生活できなくなったオランウータンを保護し、野生に還すためのリハビリを行い、再び野生に返す活動です。各個体の健康状態、年齢、経験など状況に応じて、段階的に、検疫、保育園、給餌プラットフォーム、森林へのリリース過程に進むよう構成されています。

4つの代表的なリハビリテーションセンター

  1. Sepilok Orangutan Rehabilitation Centre:マレーシア・サバ州
  2. Semenggoh Wildlife Center:マレーシア・サラワク州
  3. Tanjung Puting rehabilitation Center:インドネシア、タンジュンプッティング国立公園内
  4. SambojaLestari(旧Wanariset):インドネシア

※リハビリ施設は民間も含め多数存在します。

リハビリ施設はオランウータンにとって最善の救済方法?

テレビでよく放送される影響もあり、リハビリテーションセンター事業は最善の救済方法と思われる傾向があります。しかし、オランウータンは、母親と一緒にいる期間が6〜9年ととても長く、その間に母親から森の食物のありかや、他個体との付き合い方を学習します。
この情報を学習していないリハビリ施設で育ったコドモは、成長後も一人で森の中を生きていくことができず、結果として野生に戻ってもその森で生存し続けられるとは限りません。実際には、リリース事業はその後がとても難しいことがわかっています。

リハビリテーションセンターでボランティアをしたい!という問い合わせもよくいただきます。 先に述べた通りマレーシアとインドネシアには何か所かオランウータンのリハビリセンターがありますが、原則外国人のボランティアは受け入れていません。なぜなら「地元の人が主体となってオランウータンの保護活動を展開すること」が多くのリハビリセンターの目指している姿だからです。
現状では、ボランティアがする仕事(オランウータンの世話など)は、給料を払って雇った地元の人にやってもらおう、というのが保護活動の主流です。地元に雇用を生み、そのことでオランウータンや保護活動やリハビリテーション事業への理解を深めてもらうためです。

それでも体験してみたい方は、各施設を運営するNGOのホームページをチェックし、直接お問い合わせください。
当団体では、リハビリ事業への仲介は行っておらず、個別の施設に対するご質問にはお答えできません。

オランウータンの保全活動について
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