日本オランウータンリサーチセンター

<おらけんマガジン 第2号(2018.11.11)>

<おらけんマガジン 第2号(2018.11.11)>

 

こんにちは、日本オランウータン・リサーチセンター(おらけん)です。

 

おらけんの活動に賛同いただき寄付をしてくださった皆様に、メールマガジンを送信いたします。
info@orangutan-research.jp宛てにお送りいたしております。

 

おらけんの活動報告や今後の予定などについて、年数回配信しています。
よろしくお願いします。

 

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(1) クラウドファンディングのお知らせ
(2) おらけん今後の予定
(3) 研究者によるニュース/論文解説
(4) ボルネオ島ダナムバレイ調査報告
(5) オランウータンQ&A
(6) クラウドファンディング報告
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(1) クラウドファンディングのお知らせ
12月1日〜1月末の2か月間、JapanGivingで2年ぶりにキャンペーン(クラウドファンディング)を行います!
2019年から始まる新しい研究プロジェクト「オランウータンの父親探し」のために、調査資金を集めるのが目的です。
12月上旬に「メルマガ(おらけんマガジン臨時号)」で詳細をお知らせします。乞うご期待!

 

(2) おらけん今後の予定と過去の報告
【これからのイベント】
● 11月17日(土)〜18日(日)
「第21回SAGAシンポジウム」にて、おらけんとしてブース出展予定。理事の久世と事務局の中村もポスター発表をします。
参加無料、事前申し込み不要ですが、2日目(11月18日)は、熊本市動植物園への入園料が必要です。
[熊本県・17日:東海大学熊本キャンパス、18日:熊本市動植物園 動物資料館レクチャールーム]

 

https://www.saga-jp.org/sympo/saga21/

 

● 12月1日(土) 13:30開会(予定)
「エンリッチメント大賞2018表彰式・受賞者講演会」にて、おらけんとしてブース出展予定。
参加費無料、事前参加申し込み不要です。表彰式・受賞者記念講演の他、基調講演やポスター発表、写真展示やブース出展があります。なお、17:00〜19:00の受賞記念パーティーは、有料で申し込み制です。
[東京大学・弥生講堂 一条ホール]

 

http://www.zoo-net.org/study/research/archive/20181201_detail.html

 

【9〜10月に行った学会発表等】
●9月7日(金)〜10日(月)久世が「哺乳類学会(信州大学)」で口頭発表しました。
●9月22日(土)〜24日(月)理事の田島が「野生生物と霊長類に関する国際シンポジウム(京都大学)」で発表しました。
●9月23日(月祝)久世が多摩動物公園で講演しました。
●9月29日(土)田島が「日本動物行動学会」でポスター発表を行いました。
●10月14日(日)久世が天王寺動物園で講演しました。
●10月15日(月)〜20日(土)久世と田島がマレーシア・サバ大学で開催された、「熱帯の中大型哺乳類に関する国際シンポジウム」で口頭発表を行いました。

 

※上記の発表については、写真入りの報告が「おらけんWebサイト」に掲載されています。
http://orangutan-research.jp/report/areport/entry31.html

 

(3) 研究者によるニュース/論文解説
【論文紹介】 The slow ape: High infant survival and long interbirth intervals in wild orangutans
(スロウな大型類人猿:野生オランウータンの高い幼児生存率と長い出産間隔)

 

van Noordwijk MA, Utami Atmoko SS, Knott CD, Kuze N, Morrogh-Bernard HC, Oram F, Schuppli C, van Schaik CP, Willems EP. 2018. The slow ape: High infant survival and long interbirth intervals in wild orangutans. Journal of Human Evolution 125:38-49.
https://doi.org/10.1016/j.jhevol.2018.09.004

 

久世も共著者として参加し、ダナムバレイのデータを含む論文が、人類学の一流誌「Journal of Human Evolution」の2018年12月号に掲載されました(オンライン公開は2018年10月)。
この論文の重要な知見は、
(1) 今まで種や亜種で違いがある、と言われていたオランウータンの出産間隔は、平均7.6年で種や亜種による違いがないことが判明した。この出産間隔は哺乳類の中で最長。
(2) オランウータンの雌がオトナになる(初産年齢:15歳頃)までの生存率は94%で、野生動物としては最も高い(これを超える生存率は、先進国に住むヒトの女性しかいない)。つまり、20世紀になるまで、地球上で最も生存率の高い動物は、ヒトではなくオランウータンだった。
(3) オランウータンは究極の少産少子(少死)社会=「スロウ(遅い)」生活史を進化させてきたために、現在起きている生息地の破壊は、彼・彼女達を絶滅に追いやる危険性が非常に高い。
の3点です。
オランウータンが高い生存率を維持できるのは、樹上性で単独で暮らすため、感染症にかかることがほとんどなく、捕食者にも襲われることが少ないから、です。現代人が誕生する30万年前よりもはるか前に、現代の先進国並の高い生存率を達成していた、「少産少死社会の大先輩」、オランウータン。私達は彼・彼女達の暮らしと未来を守ることができるでしょうか。(久世)

 

詳しい要旨はおらけんWebサイトに掲載
http://www.orangutan-research.jp/category21/entry32.html)

 

(4) ボルネオ島ダナムバレイ調査報告
日本の南、赤道のあたりにボルネオ島があります。
島といっても、面積は日本の約1.9倍、世界の島の中では3番目に大きな島です。
国は、マレーシア、インドネシア、ブルネイの3か国からなります。
この島の北部のマレーシア側のサバ州に、ボルネオオランウータンが生息するダナムバレイがあります。

 

メルマガ創刊号の2018年前半の調査報告に引き続き、2018年後半の出来事をお知らせします。
2018年9月3日〜21日:田島知之
2018年9月12日〜17日:久世濃子
2018年10月17日〜28日:金森朝子
上記研究者らが、2018年後半にボルネオ島に渡航し、ダナムバレイでオランウータンの調査を行いました。

 

【2018年10月調査報告】
10月下旬、マレーシアに渡航しました。今回は、旅の前半にスカウを訪問しました。久しぶりに他の土地に行くと、観光気分でその環境を楽しめるので、何かと新鮮で楽しいものです。そして、後半に、ダナムバレイを訪れました。ダナムバレイに戻ってくると、山のような雑用を片付けなければならないのですが、やはりホッとします。
私達の調査地では、毎月、月末にネスト(巣)センサスと果実センサスを行っています。 ネスト(巣)センサスとは、オランウータンの巣の数を数えて、その月ごとのオランウータンの密度を推定する調査方法です。果実センサスとは、森にどのくらい果実が結実しているのかを、トレイル(森の小道)に落ちている果実の数から推定する調査方法です。この二つを同時に行って、オランウータンの密度と果実の関係を調べています。この調査から、例えば、森の果実量が増えると、オランウータンが周囲から集まってきて、彼らの密度が一時的に増加する、という相関関係を見つけることができます。
今回は、アシスタント達と一緒にセンサスに出かけました。今月は、驚くほど果実が少なく、その影響か、オランウータンの巣の数も極端に少なかったのが印象的でした。10キロメートル以上も森のトレイルを歩いて果実を探しましたが、2種類しか拾えなかったのです。実際、観察したオランウータンは樹皮ばかり食べていました。このシーズンは、いつも果実が少ないので、オランウータンにとっては厳しい季節になります。この季節は来年の3月頃まで続きます。 (金森)

 

【オランウータン豆知識】
● ネスト/巣(す)/ベッド:オランウータンは、毎夕、新しい巣を作って、そこで就寝します。オランウータンの巣は、樹上の木の枝を折り重ねて作られており、それは、鳥の巣を大きくしたような感じです。作り始めて3-5分ほどで完成する、とても簡易的なものですが、寝心地はかなり良さそうです。

 

チンパンジーもオランウータンと同じように樹上にベッド(ネスト)を作ります。日本人研究者と日本の寝具メーカーが、チンパンジーのベッドを元にして作成した高級ベッド「人類進化ベッド」も売り出されています。
http://www.iozon.co.jp/jinruishinkabed

 

● 樹皮:オランウータンは、樹木の皮の部分をベリッとはがして、樹皮の内側の形成層の部分を食べます。樹皮の内側の柔らかい部分を引きはがして口の中でしがみ、残りカスを捨てるか、飲み込みます。森を歩いていて、樹木の樹皮が広面積で剥がれていたり、樹皮が地面に拡散していたりするのを見つけると、オランウータンがここで樹皮を食べたのだな、とわかるほどです。

 

この調査報告の写真付きの記事は、こちらからご覧いただけます。
http://www.orangutan-research.jp/report/areport/dr201810.html

 

 

●ダナムバレイの今までのレポートは、『おらけんのWEBサイト』からもご覧いただけます。
ダナムバレイ・レポート「調査地ダナムバレイより」のページは、こちらから↓
http://orangutan-research.jp/report/areport/dunumrepo.html

 

●また、『おらけんのFacebook』でも最新情報を配信しています。
このメルマガ発行日はちょうど、田島がダナムバレイで調査中ですので、最新のレポートをご覧いただけます!
ぜひフォローしてください。
https://www.facebook.com/orangutan.research/

 

(5) オランウータンQ&A
オランウータンに関して、よくある質問にお答えしました。

 

Q1:オラウータン? オランウータン?どっちが正しい?
A1:「ン」が省略されて「オラウータン」と間違われることが多いようです。しかし、その言葉は間違い。正しい呼び名は、「オランウータン」です。(金森)

 

Q2:オランウータンは、何で「森の人」って呼ばれるの?
A2:「オラン ウータン」は、インドネシア語やマレー語で、森のヒトという意味をもちます。森が「ウータン」、ヒトが「オラン」にあたります。(金森)

 

Q3:なぜオランウータンは「森の哲人(哲学者)」と呼ばれるの?
A3:オランウータンが単独で、樹上で長い時間動かず、「何か」を考えているように見える姿を「思慮深い哲学者」にたとえた別名です。日本で使われている表現のようですが、初めて使った日本人が誰なのかは不明です。
(久世)

 

Q4:野生のオランウータンはどこに住んでいるの?
A4:ボルネオ島(マレーシアとインドネシア)と、スマトラ島(インドネシア)です。野生のチンパンジーやゴリラはアフリカ大陸に住んでますが、野生のオランウータンはアジアに住んでいます。アジアに位置する日本からすると、実はチンパンジーやゴリラより、オランウータンのほうが身近なのかもしれません!(蔦谷)

 

(6) クラウドファンディング報告
今後のオランウータン研究のために、現在、下記サイトにて通年で寄付を受け付けています。
500円から寄付していただけます。
ご賛同いただける方、ご協力よろしくお願いいたします。
https://japangiving.jp/campaigns/5309

 

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【編集後記】
8月のメールマガジン(メルマガ)創刊号に続いて、やっと第2号を発行することができました。
これからもオランウータンについて様々な情報を発信していきますので、もっともっとオランウータンや研究のことなどについて興味をもっていただけるとうれしいです。
よりわかりやすく、おもしろいメルマガにするために、サポーターの皆さんからご意見、ご感想をお待ちしています!
特にオランウータンのことや研究のことなどについての質問も大歓迎です。
次回以降の「Q&A」コーナーでお答えしようと思います。

 

事務局メールアドレス:
info@orangutan-research.jp

 


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